2020.10.11|
COLUMN
暮らしの物語【 chapter 4 】お客様のご自宅へ、 暮らしに関するお話を伺いに行きました。
暮らしの物語
家具を通して見えてくる、その人ひとりひとりの暮らし。 家族のソファ、新婚時の小さなテーブル、一人暮らしに合わせた初めての椅子、 小学校へ入学した時の学習机、おばあちゃん家のコタツに、学校の時計。 きっと、そのひとつひとつに想いがあり、きっと、そこには何か物語があるはず。 そして、その物語を聞ける事は、私達にとって何よりの財産となります。 そんな想いで始まる今号の企画「暮らしの物語」。 今回で最終回!
Chapter.4
世代を超えて、受け継がれる椅子。 FOLDING CHAIR (イースター)
群馬県伊勢崎市にお住まいのS 様は地域のボランティア活動への参加や、本の挿絵を手がけたり手話の検定に合格するなど、定年を迎えてからも様々なことへアクティブに挑戦しています。そんなS様が今回、スタイルに張り替えでお持ちいただいた椅子はおよそ30~40 年以上前から使われていたもの。ものに対する考えや想いを、お聞きしました。
父が使っていた椅子に座って、お月見会をしたいんです。
STYLE:こちらの椅子にまつわるエピソードをお聞かせください。
S様:
実家の解体に伴い、いろいろなものを処分する中で「あ、これは父が使っていた椅子だな」と思って保留状態にしていました。保留状態にしているものは、しばらく経ってからもう一度残すか捨てるか考えるんですが、それでも残った椅子だったので、やっぱり心のどこかで気になっていたんですね。
STYLE:きっと、思い出の中にもお父様がこの椅子に座っていたイメージが残っていたんでしょうね。
S様:
それはありますね。机に向かって本を読んでいた姿を覚えています。その机はずいぶん前に処分しちゃいましたけど、この椅子はとっておきたかったんです。
STYLE:この椅子の修繕に至った経緯を教えてください。
S様:
デッキでお月見会をしたいので、その時に使いたいなと思っていました。こういう椅子だとコンパクトに折りたためるので、普段使わない時なら家具と家具の隙間にも収納できて便利ですよね。でも、あまりにも状態がひどかったので、以前スタイルに椅子の張り替えをお願いしたことを思い出して、この椅子も張り替えられるなら、再生して使いたいなと思ったのがきっかけです。
STYLE:座面のクッションを張り替えるよりも、(同じような) 新しい椅子を買う方が金額的には抑えられたと思うのですが、
買い替えでなく張り替えにしたのはなぜですか?
S様:
ヨーロッパでは、年月が経ったものの方が価値があると言われていますよね。日本では古いものを捨てて、新しいものを買うのが一般的ですけど、私は残せるものは残しておきたいんです。残しておくことで故人を偲ぶことができたり、思い出の媒体としての役割みたいなものも大事かなと思うんですよね。あとは、純粋に勿体無いという気持ちです。もう一回この椅子にお仕事してもらおうかなという感じです。将来的には、私が施設に入る時一緒に連れていくことまで考えています。
STYLE:今回張り替えて本当に生まれ変わりましたね。
S様:
クッションの厚みも満足ですし、このパイピング部分も気が利いていてすごく気に入っています。これなら来客用の椅子として使っても失礼じゃないなと思います。職人さんにも感謝しています。
STYLE:以前当店に張り替えのご依頼をいただいた別の椅子も、随分永く使われていますよね。
S様:
あれは中学校に入る時、机と一緒に買ってもらってからずっと長い間、実家にあった椅子なんです。今住んでいる家を新築したのは12 年くらい前なのですが、建てる際に友人でもある設計士の方と相談して、この家でも机と合わせて使うことにしました。今は二階の部屋で息子が使っていますが( 笑)
暮らしていて潤いを感じるもの、心が豊かになれるようなものを選ぶようにしています。
STYLE:ものを選ぶ時のこだわりや基準はありますか?
S様:
スーパーや量販店など、機能的に同じものはどこにでも売っているけど、暮らしていて潤いを感じるもの、心が豊かになれるようなものを選ぶようにしています。便利なものはもちろんあるけれど、すぐに壊れないもの、永く使えることも大切ですね。
STYLE:” 潤いを感じるもの” というと?
S様:
言葉にするのは難しいんですけど…機能だけじゃなく見た目や使い心地の良さでしょうか。そういう意味でいうと、スタイルで取り扱っている商品には潤いを感じるものがたくさんあるので、ついつい欲しくなってしまいます。” 欲しいもの” と”必要なもの” を分けて考えた時に欲しいものは一旦保留にして、生活に必要なもので、永く使いたい、デザインが気に入ったものを選んでいますね。
STYLE:ものを使っていくにあたって、ものに対して愛着や思い入れはありますか?
S様:
自分の想いで買ったものには、どれも愛着があります。さらに永く使えば使うほど、愛着や思い入れは強くなりますよね。愛着のあるものがたくさんあるので、「一番はこれ」っていうのは選べないです。
STYLE:この10年間で暮らし方の変化があれば教えてください。
S様:
定年退職直前になってこの家に引っ越したのですが、そのタイミングで家にテレビを置くのをやめました。以前、どうでもいい内容のテレビ番組をぼーっと見ていたことがあったのですが、その番組を見終わった後に” なんて時間が勿体なかったんだろう…” と、ものすごく後悔したことがきっかけです。だったら情報は新聞とラジオで十分じゃないか、と考えるようになりました。
STYLE:それで今回、Tivoliのオーディオをご購入してくださったんですよね。
S様:
はい、大切に使わせていただきます。あとは定年退職も一つの転機になりました。今まで暮らしの大半の時間を仕事に費やしてきましたが、そこから解放された時に、自分の時間というものが一気に増えますよね。それをどう自分に使うか。職場が東京だったので、正直住んでいる地域のことを何も知りませんでした。これからは地域に対して自分ができることをしようと思い、ボランティアで図書館の本の修復と、手話を始めました。
STYLE:ご自宅では普段どのように過ごされていますか?
S様:
朝5時半には起きて、朝ごはんを食べて、母が近くに暮らしているので毎日掃除をしに行って、顔を見ながらケンカをして帰ってきます(笑)その時点でまだ8時ですが、ひと仕事終わったぞ、という感じで一日がスタートします。そのあとはボランティアに行ったり、手話の勉強をしたり、公民館へ情報収集をしに行ったりしています。あとは、一週間に一度の仕事もしています。
STYLE:とても充実されていますね。ご自宅の外で過ごされる時間が多いイメージですが、
インテリアの楽しさを感じるのはどんな時ですか?
S様:
お客様を家へ招いた時、使ってもらえる時に感じます。食器や家具が一つのきっかけになって会話が広がるのも楽しいですし、今日も取材に来ていただいたおかげでこの子( グラス) の出番があって「良かったわね」と感じるんです。この先、私が歳をとって外に出られなくなった時も、お客様を招いてたくさん使っていただきたいですね。
STYLE:最後になりますが、当店のコンセプトは『みんなのホームをちょっと幸せに』です。
スタイルと出会った事で、S様の暮らしはちょっと幸せになりましたか?
S様:
スタイルへ行くとドキドキする商品が多いんですよね。生活雑貨を売っているお店は色々あるけれども、正直他のお店ではそういう気持ちにはならないんです。スタイルにはいつ行ってもドキドキするし、ワクワクするから楽しいですよ。
STYLE:そう言っていただけると嬉しいです。
S様:
生活に潤いのある品物を扱っているから、多少高くても欲しくなっ ちゃいます。価格も大事ですが、それ以上にオシャレさやドキドキ、ワクワクする時は幸せを感じますね。特に北欧雑貨の売り場は見ていてワクワクします。幸せっていうと大げさかもしれないけど、日々使っていて暮らしに潤いや、ほっとする瞬間は感じています。
※こちらの記事は「STYLES STYLE BOOK vol.58 」の内容をWEBに掲載しています。取材時期:2019年6月
暮らしの物語 〜 chapter 1 〜はこちら
暮らしの物語 〜 chapter 2 〜はこちら
暮らしの物語 〜 chapter 3 〜はこちら
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