ハンス J.ウェグナー展連載企画 第2回
PP250ことヴァレットチェアをご紹介させていただきます。
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ウェグナーの代表作の一つ。背がハンガー、座は手前に引き落とすとズボン掛け、
さらに座の下には三角形のボックスが隠されており、ポケットの中の小物が入れられる。
つまり、この一脚があれば、身の回りが片付くことから、“ヴァレット(従者)チェア”や
別名“バチェラーズ(独裁者の)チェアなどど呼ばれている。
日本ではあまり知られていないがこの作品が発表される前には、
4本脚で笠木がハンガーの形をした椅子が発表されていた。
この作品はそれをリデザインしたものである。
1953年、“キャビネットメーカーズキルド展”に出品する際、デザインが決まらず締め切り直前に
ウェグナーとヨハネス.ハンセン、それに同工房の家具職人の3人が協力して2日間で完成させたものである。
展示会では国王が買い上げ、友人へのプレゼント用にさらに5脚を予約したという。
ウェグナーはただちに製作原図を引き、18か月後に納入できたそうである。
当時パイン材がデンマーク家具に使われた材料のなかで、大量生産家具用の安い材料として認識が高く
品質が劣るというイメージを払拭するため、あえてこのPP250バレットチェアに
パイン材を使用したとされている。そのため始めてこの世に誕生したバレットチェアは、
脚とフレームがパイン、座と背の一部はチークでできていた。
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たったの2日間で完成させたというエピソードは衝撃的でした。
名作と呼ばれるのに製作期間は関係無いということですね。
写真で見るイメージに比べ実物は以外と大きさがあります。
ダイニングテーブルに合わせるとその特徴的な背もたれ部分が
ひょっこり顔を出しているようで大変かわいいです。
ジャケットやセットアップなど持っている服を着せることができますので、より愛着が沸きそうです。
ただ、浅く腰掛けると座面が開いてしまいますのでご注意ください。
こちらの作品もピーコックチェアと同様展示期間が他の椅子に比べ短いので
気になる方はお早めにご来店下さいませ。